エンジニアのダン・デービスは、信頼していた恋人と親友に裏切られ、会社の経営権を奪われてしまう。失意の中で彼が選んだのは、冷凍睡眠による未来への逃避だった。
冬の時代を眠って30年後に目覚めようという計画。しかしひょんなことからタイムマシンが絡んでくることになり——。
題名の「夏への扉」は、ダンの愛猫ピートが冬でも「夏につながる扉」を探して家中の扉を試し続けるという習性からきている。この猫がとにかく愛らしくて、序盤から物語に引き込んでくれる。
「ハッピーエンドが保証された気分で読める」小説。細かいことを考えずに楽しめるタイムトラベルもので、読後感がとにかく気持ちいい。
ハインライン作品の中では一番エンタメ寄りで読みやすい。猫のピートの存在がとにかく物語に温かみをプラスしている。猫が好きな人には特に刺さると思う。タイムパラドックスのロジックはあまり深く考えないほうが楽しめる。
重いSFを読み続けた後の口直しにも最適。サクサク読めてちゃんと面白い。