最初は「日付を変えるだけ」だった。
職場で毎月使う点検表があった。月が変わるたびに日付を手打ちで書き換える、地味に面倒な作業。「これ、Claudeに頼めばマクロで自動化できるんじゃないか」という軽い思いつきが、すべての始まりだった。
VBA(ExcelのマクロをつくるためのプログラミングLanguage)という言葉は知っていた。でも書いたことはない。Claudeに「月次点検表の日付を一括で翌月に更新するマクロを作って」と伝えると、コードが出てきた。
意味はほとんど分からなかった。でも貼り付けて実行したら、動いた。
日付が全部変わった瞬間、少し感動した。コードを書いていないのに、コードが動いた。
調子に乗った。
次のターゲットは産廃業者へのFAX注文書だった。品番を入力したら品名・単価・業者名が自動で入る仕組みを作りたかった。VLOOKUPという関数(一覧から値を検索して引っ張ってくる機能)をマクロで自動化する形にした。
品番を打つだけで注文書が完成するようになった。同僚に見せたら「え、なにこれ便利」と言われた。地味に嬉しかった。
そして、ボスキャラが来た。
職場のシフト引き継ぎがアナログで管理されていた。「次のシフトへのTODO、どこに書けばいいの?」という状況が続いていたのを解決しようと思い立った。
完成したのが 「申し送りTODO.xlsm」。7シート構成、4シフト対応。各シフトが担当タスクを書き込み、次のシフトが確認してチェックを入れる。完了済みタスクは自動でアーカイブシートに移動する仕組みまで入れた。
作り終えた後、少し呆然とした。自分が作ったのか、これ。
気づいたら、職場のデジタル化を一人で推進していた。
コードの意味を理解して書いたわけじゃない。Claudeと話しながら、「こうしたい」「ここが動かない」「もっとこう変えたい」を繰り返した結果だった。
魔法使いになれたかどうかは分からない。ただ、呪文の詠唱はできるようになった気がしている。