5月24日深夜、ロシアが90発のミサイルと600機のドローンでウクライナを一斉攻撃。マッハ10の極超音速弾道ミサイル「オレシュニク」がキーウ南方のビラ・ツェルクワを直撃。死者4人・負傷80人超。ロシア外務省は外国人に「できるだけ早くキーウを離れよ」と退去警告を発した。
5月17日、ウクライナは500機のドローンでモスクワ首都圏を攻撃し、3人を死亡させた(#11参照)。それからちょうど7日後の5月24日深夜——ロシアの回答が来た。
規模は圧倒的だった。90発のミサイルと600機のドローンが夜間に発射され、ウクライナ全土に降り注いだ。首都キーウは「全ての区で被害」が報告され、ウクライナ外務省ビルの窓ガラスが吹き飛び、独立広場(マイダン広場)周辺も損傷した。
今回の攻撃で最も注目されるのが「オレシュニク(Oreshnik)」の使用だ。正式名称はRS-26ルビジ(Rubizh)。ロシアが開発した中距離弾道ミサイルで、今回が戦争における3回目の実戦使用となった。
| 性能仕様 | 詳細 |
|---|---|
| 速度 | マッハ10(音速の10倍) |
| 弾頭 | 通常弾頭・核弾頭搭載可能 |
| 貫通能力 | 地下3〜4階のバンカーを破壊可能 |
| 迎撃難度 | 現行の防空システムでは事実上迎撃不能 |
| 発射地点 | ロシア・アストラハン州カプースチン・ヤル(試験場) |
| 着弾地点 | ビラ・ツェルクワ(キーウ南方約80km、人口20万人) |
| 戦争中の使用回数 | 3回目(今回) |
マッハ10という速度の意味を考えると、東京からソウルまでの距離(約1,160km)を約7分で飛ぶ速さに相当する。発射を探知してから着弾するまでの時間が極めて短く、既存の防空システムでは迎撃がほぼ不可能とされる。ゼレンスキー大統領は今回、欧米の情報機関から事前に警告を受け、市民に退避を促していたと明かした。
オレシュニクが着弾したのはビラ・ツェルクワ(Bila Tserkva)。キーウ州に属し、首都から南西約80kmに位置する人口20万人の都市だ。軍事施設の集中する地域であることが、攻撃目標となった理由とされている。
しかしその余波はキーウ全域に及んだ。複数の住宅棟と学校が損傷し、ウクライナ外務省ビルの窓が破損。独立広場(マイダン広場)周辺でも被害が確認された。これは首都の心理的・象徴的な中心部への打撃でもある。
攻撃後、ロシア外務省は外国人——外交使節団や国際機関のスタッフを含む——に対し、キーウを「できるだけ早く離れるよう」警告した。これは単なる安全上の勧告ではない。
外交的な文脈で読むと、この声明は「今後も大規模攻撃を継続する」という意思表示でもある。外国の外交官が在留する首都を攻撃し続けることを前提に、「だから退去しろ」と言っているのだ。
複数の欧州諸国は、在キーウの大使館機能の一時移転を検討しているとも報じられている。外交拠点の移転が現実になれば、それはウクライナの孤立化にも繋がりかねない。
| 日付 | 攻撃の主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 5月9〜11日 | (停戦) | トランプ仲介の3日間停戦——双方が違反を非難し瓦解 |
| 5月17日 | ウクライナ | 500機ドローンでモスクワ攻撃。首都圏3人死亡(#11) |
| 5月24日 | ロシア | 90ミサイル+600ドローン+オレシュニクでキーウ攻撃。4人死亡 |
| 5月27日現在 | — | ロシア外務省が外国人に退去勧告。次の一手は? |
パターンは明確だ。ウクライナが首都攻撃→ロシアがより大規模な首都攻撃で応じる。この「報復の螺旋」に出口は見えない。和平交渉は完全に凍結しており、双方のエスカレーション抑制インセンティブは低下し続けている。
90発のミサイルと600機のドローン。この数字の重さは、1発1発が人の命と建物に直結するという現実にある。4人という死者数は奇跡的に少ないとも言える——600機のドローンと90発のミサイルが都市を直撃して4人というのは、ウクライナの防空能力が相当機能していることを示唆する。
しかしオレシュニクは防げなかった。マッハ10で飛来する弾道ミサイルを迎撃できる防空システムは、現時点で存在しない。これが今回の最大の軍事的メッセージだ。「我々には、あなたたちが防げない兵器がある」——プーチンはそれを3回目の実戦で証明した。
核弾頭搭載可能なミサイルが通常弾頭で都市近郊を攻撃している。その一線がいつ、どのような形で変わるのか——世界が注視する中、ウクライナの夜は続く。
In the early hours of May 24, 2026, Russia launched one of its largest strikes of the war: 90 missiles and 600 drones targeting Ukraine, with damage reported in every district of Kyiv. The strike killed four people and wounded more than 80, damaging dozens of residential buildings, several schools, the Ukrainian Foreign Ministry building, and structures near Independence Square.
The most significant weapon deployed was the Oreshnik (RS-26 Rubizh) intermediate-range ballistic missile, fired from the Kapustin Yar range in Astrakhan Oblast and striking Bila Tserkva — a city of 200,000 people roughly 80 km south of Kyiv. This was the third confirmed combat use of the system. The Oreshnik travels at Mach 10, can penetrate underground bunkers three to four floors deep, and is capable of carrying nuclear warheads. No existing air defense system can reliably intercept it.
Following the attack, Russia's Foreign Ministry issued an unusual warning to all foreigners — including diplomatic mission staff — to leave Kyiv "as soon as possible." The statement signals Russia's intent to continue large-scale strikes on the capital, with broader diplomatic implications if embassies begin to relocate.
The escalation spiral is now unmistakable: Ukraine's 500-drone Moscow strike on May 17 (News #11), followed seven days later by Russia's largest coordinated bombardment. Peace talks remain frozen. The next move is unknown.